若林健太

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若林健太

1月20日米国大統領就任から2週間余りが経過しました

2017.02.02

1月中旬の大雪で雪かきを行い、節々が痛いと言われている人が多く居らっしゃいます。私も久しぶりに数日連続して雪かきを行いました。お婆ちゃん一人暮らしの隣の家までは我が家の責任と思いかいていると、ご近所でも手伝いに来てくれて、皆さんとの会話が弾みます。雪かきは大変だけど、近所のコミュニケーションの場でもあります。毎年繰り返される冬の一コマですね。

 

120日米国大統領就任から2週間余りが経過して、次々に繰り出される大統領令に世界中が振り回されています。選挙時に刺激的な発言をしていても、いざ大統領になったら常識的な政策を実行するのではないかと言った淡い期待は見事に裏切られたようです。メキシコ国境の壁、NAFTAの見直し、TPP脱退、イスラム諸国の入国制限、ついに為替への口先介入まで、、、、、アメリカファーストの下で、亀裂と対立を世界中にまき散らしています。

 

外務大臣政務官としてメキシコには何度か訪れ、グラハルト経済大臣ともバイ会談を行ない、太平洋同盟の会議では、ペチャ・ニエト大統領ともご一緒しました。日本とメキシコの間にはFTA、北米大陸はNAFTAがあるので、工業製品が関税を受けずにメキシコへ輸出され、組み立てられた上で、無税で米国市場へ提供できる環境が整っていました。米国の自動車メーカーと共に、日産を始めとした日本の自動車メーカーもメキシコへ大きな組み立て工場を投資していました。ペチャ大統領、グラハルト大臣は「メキシコの主要産業は自動車産業」と良く言っていました。自国資本に拘らず、オープンな投資環境を整え、産業を振興する。その方針は一貫していました。中南米を含むアメリカ大陸にある多くの国が米国経済の影響を受けながら、米国を忌み嫌い、距離を置こうとする中で、自国経済発展への道筋をしっかりと見据え取り組む姿勢に感銘しました。G20の一角に入り、中米諸国のリーダーとして、経済発展に勢いを感じたものでした。そのメキシコと米国は国境の壁建設や関税を巡って対立をして首脳会談が流れてしまう事態に陥っています。

 

数年前、著名な国内の経済学者と議論をした時、次のような面を指摘されました「BRICSなど新興国の経済発展によって、米国の世界経済におけるシェアが相対的に低くなっているが、10年、20年先も、質量とも世界で一番なのは米国だと思う。何故なら、移民大国の米国は、世界の頭脳を集め、常に最先端の技術革新を続けている。日本のような人口減少問題は心配ない。高度人材も、そうでない人材も、国境を越えて、常に供給されるからだ」

 

トランプ大統領が目指すアメリカ。自由貿易と移民国家としてのメリットを十分に享受していたはずの同国が、これらに背を向け始めた時、一体、何処へ向かっていくのでしょうか。今後の行方に目が離せません。

 

安倍総理大臣は128日にトランプ米国大統領と電話会談をしました。23日にはマティス米国国防長官が来日。210日にワシントンで首脳会談が行われる事となりました。大切な同盟国としての日本との関係を重視して再構築しようとする米国側の姿勢も伝わってきます。日米関係の基本的認識を共有する事が大切であり、安全保障と通商問題が主要テーマとなるでしょう。

 

軍事大国化する中国や独裁国家北朝鮮を抱える東アジア地域での平和と安定を守る事が米国にとっても必要な事であり、尖閣列島が日本固有の領土として日米同盟の適用対象になるとの言質を取らなくてはなりません。その上で、平和憲法の下、専守防衛に特化する自衛隊に関して理解を得て、日米同盟での役割分担に関する基本的な認識を共有するようにして欲しいものです。

 

公約通りTPPからの脱退について大統領令を発布しました。その一方で、EUからの完全離脱を宣言する英国のメイ首相とは第一番目に首脳会談を行い、二国間のFTA交渉を行うことで合意しました。恐らく、安倍総理との首脳会談でも2国間FTAへ向けた要請を受ける事になるでしょう。日本は豪州との間のFTAは既に結んでおり、このまま米国がTPPから脱退したままでは、日本の輸入牛肉市場はOGビーフに席巻されるようになるので、米国も悠長な事を言っていられません。一方で、我が国にとっては、既に自動車関税はゼロとなっており、農産物輸入について厳しい要請が行われるのではないかと危惧しています。慎重な対応が必要でしょう。

 

トランプ米国大統領が最初の会談相手にメイ英国首相を選び、両国の特別な関係に言及され、二国間FTA交渉を開始するとの発表を受けて、私の眼には時代の変わり目を象徴する姿に移りました。レーガノミクス、サッチャーリズムに代表される新自由主義政策を実行し、グローバル世界を牽引してきた両国が、お互いに、グローバルに背を向けて新しい時代を開こうとしている。文明の衝突へ向けた扉がいよいよ開きました。

 

価値観の転換を含む社会構造の大きな変化。革命ともいえる時代の変化は、70年前後に訪れるという人が居ます。享保の改革(1716年)、寛政の改革(1787年)、 明治維新(1868年)、終戦(1945年)、、、、世界史でも、同じように説明されており、戦後70年を経て、まさに、大きな歴史的な転換点を迎えているのかもしれないと思っています。

 

世界が歴史的な転換をしようとしている事を十分意識しながら、日本の選ぶべき道は、保護貿易の誘惑や孤立主義に堕する事無く、自由で公正な世界市場の形成に向けて努力をしていく事が大切だと思います。日本が世界の平和と安定のため軸足をぶれずに行動することを求める諸外国は多いと思います。アセアン諸国とのRcepEUとのEPAなど、引き続き取り組むべきでしょう。今こそ、日本が世界にリーダーシップを発揮する時かもしれません。

 

この大切な時期に国政に議席を失い、政策決定に参画できない事が残念でなりません。しかし、世界の動き、日本の選択を注視しながら、地域の中にあって、その影響に目を向けて、再び政策決定の場に立った時、即座に役に立てるように精進して参りたいと思っています。

 


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