若林健太

若林健太

若林健太

いろいろあった2016年も、残り1ヵ月となりました

2016.12.01

色々あった2016年。いよいよ師走、12月となりました。街の景色も、すっかり冬本番となっています。先日は、東京にも54年ぶりとなる11月の雪が降りました。急激な冷え込みで、第111回えびす講煙火花火の翌日には、長野市内も真っ白。昔を思い出すと、雪がチラチラ舞う中、えびす講を観に行ったもの。気がつけば、今年も残り1か月。新年にやり残しを繰り越さないよう、1年のけじめを意識したいと思います。

 

劇的な米国大統領選挙が終わって3週間。主要人事も伝えられ着々と政権移行に向けた動きが進んでいるようです。選挙期間中に発言した数々の刺激的な暴言どおりに政策を行われたら大変だと、世界が固唾を吞みながら見守る中、APECに向かう途中、NYに立ち寄り、安倍総理大臣がいち早く首脳会談を行いました。野党は色々と発言していますが、その行動力は頼もしい限り。評価するべきだと思います。オバマケアや移民政策など、選挙期間中に派手な発言をしていた政策でも、意外に現実的な対応をするのではないかと感じさせる行動もありましたが、TPPに関しては、脱退を明言しました。安倍総理が「米国抜きのTPPでは意味をなさない」と発言した直後のツイッターで伝えられた事で、面子をつぶされたような格好になりました。暫くは、トランプ大統領予定者の動向には目を離せないと思います。

 

著名な経営者でもあるトランプ氏が積極的な財政政策を打ち出すのではないかという思惑で、ドル高円安となり、日経平均も高値へ引き上げられています。FRBの金利引き上げ予測もあり、日米の金利差が広がれば円安傾向も定着するかもしれないと期待する記事も見受けられますが、現実的な合理主義者であろうトランプ氏が、このまま、ドル高円安を見過ごし放置するとは思えません。産業空洞化を防ぎ、国内生産にこだわる発言を聞いていても、いずれ調整があると思うべきでしょう。

 

メディアの世論調査を初め、誰もが予測できなかった米国大統領選挙、英国のEU離脱。この二つの事柄から、次の二つの事を肌で感じています。一つは、世界の歴史が大きく変わり始めた、その転換期を迎えたという事。もう一つは、新自由主義一辺倒で突き進んできた政策の修正を世界各地で余儀なくされるというものです。

 

米ソ冷戦構造がソ連の崩壊とともに崩れ、米国が唯一絶対の存在となって世界を席巻するパックスアメリカーナ。新自由主義と共に、その思想が東欧社会にも浸透していきました。しかし、新興国が経済発展をして、米国が相対的に経済力を失い、世界を仕切る力を失ってきました。オバマ大統領は、ついに「世界の警察官ではない」と宣言、リバランス政策を進めています。これを受けた先の大統領選挙では、中東和平や強大化する中国と東アジアの安全保障問題など、世界の平和安全に関する話題は、殆ど聞かれず、内向きの議論が目立ちました。サミュエルハンチントンの説いた「文明の衝突」の世界が現実に始まった。10個の文化圏(民族と宗教、歴史によって形成される)によって、世界は割拠され、秩序を維持する唯一絶対の超大国がない中、それぞれが地域紛争を抱えるようになる。そう予言された世界に突入したのではないかと思います。

 

トランプ大統領予定者は、日米同盟の片務性を指摘して、米軍駐留経費の増額に言及していました。国内には、この際、日本も自らの国を自らの手で守るため防衛体制を強化しろという人が居ます。私は現実的ではないと思っています。中国と日本の防衛費は8倍以上の差があります。人口規模も違い、経済成長著しい中国と軍拡競争をするのは得策ではありません。やはり、日米同盟を基軸として、専守防衛に徹する自衛隊が米国と共に対処する事が大切です。米国の考え方に変化が生じるかもしれません。柔軟に対応しながら、今の枠組みを、どう維持していくのか。更に真剣な検討が必要だと思います。

規制緩和とグローバリズムに象徴される新自由主義経済。低成長に喘ぐ先進諸国には、ITなど新たな産業分野を見つけ出し、ニューフロンティアを創り上げると共に一定の経済成長を齎して来ました。しかし、得られた成果は、ごく限られた一握りの皆さんに偏り、従来の中産階級と言われた層が疲弊して、貧富の格差が拡大しました。米国は、1割の人たちが、全体の所得の5割を占めるような状況になっています。今回の米国大統領選挙、英国のEU離脱も、こうした多くの不満を抱える層の皆さんが投票行動に移して起こったある種の革命のような状況があると思います。

 

日本も他人事ではありません。米国が1割の人たちで5割の所得を占めると書きましたが、独と日本も、1割の人々の所得が全体の4割を超すような状況になってきているのです。非正規労働が全体の4割を占める現実。大企業が空前の利益を出して、年々ベースアップする一方で、国内取引を中心とした中小企業の業績が厳しいまま改善されていません。首都圏が景気よくタワーマンションなど林立して建設される一方で、地方では、景気回復の実感を得られているのは限られた業種になっています。7-9月の第2四半期は経済成長率が年率換算で実質2.2%と内閣府が発表しましたが、これを実感できる地方経済の経営者は少ないと感じます。

地方創生を実効あるものとして、しっかりと進め、首都圏と地方との格差を是正しなくてはなりません。大企業が利益の大半を労働分配や設備投資に回さずに現金に積み上げている状況を変えるため、設備投資減税などの取り組みもより強化しなくてはならないでしょう。国際的な課税制度の調整がBEPSなどで進んでいますが、累進課税に関する議論も、改めて行っていく必要が出てくると思います。予算、税制、全般に渡る政策立案の基本的な考え方を変えていく。大事な時を迎えています。

 

国内政策、安全保障政策、外交政策、、、各分野で、大きな議論が必要になってくる大事な時。これから政治の役割は、なお一層重要性を持ってくると思います。こうした時、政策決定の場に居ることが出来ないのは、なんとも悔しいばかりですが、一日も早く国政へ復帰をして、その役割を果たして参りたいと思います。

国論を二分して激しい議論をしてきたTPPも、トランプ大統領誕生によって当面は成立する可能性が極めて低くなりました。TPPを意識した国内農業対策として、取り組んできた畜産におけるマルキンの法制度化や農地中間管理機構による集約化、収入保険制度の導入などは、引き続き真摯に取り組むべきだと思います。TPPに関わらず、耕作放棄地が広がり、高齢化が進む中で、日本の農政が抱えている課題は多いのですから当たり前です。

もっとも、規制改革会議の示すJA改革には驚きました。2年前に、JA改革に関しては大議論をし、自己改革を基本として、その方向性は打ち出しました。5年間、その成果を観ていく事になっているのに、途中のこの段階で、現場とかけ離れた提言などが、突然、示されました。生乳の指定団体制度など心配する内容はたくさんあります。自己改革を基本に地に足をつけた取り組みとなるように願いたいものです。

 

TPPが停滞する事で、中国が主導するRCEPなどが大きく動き出す事が予想されます。また、日豪EPAが既に成立している事から、日本の輸入牛肉市場では、米国から豪国に切り替わっていく事が予想されます。その際、米国から二国間のFTAを申し入れられた場合は大変です。TPPとは比較にならない厳しい交渉に晒される可能性もあり、安易に二国間FTA交渉など取り組むべきではありません。いずれにしても、日本の通商政策全体を、大きく見直していかなくてはなりません。その推移を見守っていきたいと思います。

 

今回も長い文章になりました。最後まで読んで頂き有難うございます。師走となり、年内の仕事を締めていくなど忙しい毎日を送られると思います。どうぞ、お体をご自愛されご活躍されることを祈念します。なお、私は毎日地元長野におりますので、忘年会新年会、お茶会など、機会がありましたら、お誘い頂けると幸いです。時間の限り、様々な席に参加をし、意見交換をして参りたいと思います。どうか宜しくお願い申し上げます。


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